原子力発電の原子炉内の温度が上がりすぎて、炉心にある核燃料が過熱状態となり、溶けてしまうこと。原発が想定する事故としては重大な事象。原子炉の内部では、核分裂反応などによる高熱が発生しているため、常に冷やし続けなくてはいけない。そのため原子炉内は水などの冷却材に満たされているが、何らかの理由で水が減り、核燃料が露出すると、核燃料を覆う被覆管が熱で溶けてしまい、核分裂反応が連続して、制御できなくなる恐れがある。過去には1979年にアメリカのスリーマイル島原発事故や、86年のソ連(当時)のチェルノブイリ原発事故などが起きた。炉心溶融がさらに進み、原子炉の圧力容器、さらには格納容器まで損傷し、外部に放射性物質が漏出する深刻な事態に至った場合がメルトダウン。2011年3月11日に東北一帯と関東を襲った東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、福島にある東京電力福島第一原子力発電所で、原子炉が緊急停止はしたものの、地震と津波の影響で非常用電源も動かせなくなったために緊急炉心冷却装置(ECCS)が停止。その結果、1号機で地震翌日の12日に原子炉内の水位が低下、核燃料の温度が急上昇して、核燃料を覆うジルコニウム合金が溶け、炉心溶融が発生した。さらに2号機、3号機でも核燃料が一部または全部露出する事態となり、世界でも類例のない重大事故となった。