ブルセラ・カニス(イヌ流産菌)の感染によって起こる人畜共通感染症。日本へは、1970年ごろに繁殖目的で輸入されたイヌによって持ち込まれたと考えられる。感染によって死に至るような危険性の高い病気ではないが、症状としては、オスイヌの場合、生殖器異常、メスイヌの場合、胎盤炎や流産として現れる。経口や交尾などによって、感染犬の精液、尿、乳汁、流産胎児や流産後の汚物を介して伝播する。イヌの繁殖施設などにおいて集団感染していた例が過去に報じられており、レンタル犬サービスを行っている「ジャネット」(東京都品川区)でも、2008年10月3日、五反田店、浦安店で飼育されていた59頭のイヌのうち、陽性18頭、疑陽性38頭、陰性3頭という検査結果が出たことが保健所などに報告された。人に対しては病原性が弱く、発熱、悪寒、倦怠感など、風邪に似た症状にとどまることが多い。通常の生活で感染することはまれだが、イヌの分娩に携わる獣医師などには感染機会が多いと報告されている。予防策としては、感染犬と健常犬の隔離、飼育環境を清潔に保つことなどが挙げられている。