特殊な能力をもつ「超人」たちがリング上で死闘を繰り広げる、ゆでたまご原作の格闘漫画。当初は強いギャグ色のもと、超人が巨大化し、空を飛び、ビームを放って怪獣と戦うような物語だったが、やがて正義と悪の立場に分かれた超人たちが、等身大で対決するシリアスな物語に移行していく。主人公のキン肉マンことキン肉スグルは、牛丼好きで、筋肉隆々の大男のくせにドジで意気地なしで品もない、見た目も不細工なダメ超人。だが実は、キン肉星という惑星の王子。額に書かれた「肉」の一字は、さまざまな作品でパロディー化、あるいはリスペクトされている。このダメ超人が悪の理不尽に屈せず、おびえを克服して戦いに挑む姿を通し、かつてのライバルや改心した敵たちが「正義超人」として結束、次々と現れる悪の超人たちと奇想天外な勝負を展開していく。アメリカの「テリーマン」、イギリスの「ロビンマスク」、中国の「ラーメンマン」、果ては便器をモチーフにした「ベンキーマン」など、膨大なキャラクターを登場させ、格闘シーンの幅広い演出にも成功。ダメな主人公の成長、トーナメント方式の戦い、個性的な大勢のキャラクター、敵が改心して仲間になる流れなど、少年漫画の王道となる図式の確立にも一役買った。1979~87年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、アニメ化で火が着き、「キン消し」とよばれる消しゴム人形のシリーズも含めて大ヒット。全36巻のコミックスが刊行された。その後98年、息子のキン肉万太郎を主人公とした「キン肉マンII世」が「週刊プレイボーイ」で連載を始め、ブームが再燃。両作の間にある空白のエピソードを描いた短編作も随時発表されており、それらを収録した単行本が「キン肉マンの日」(29日の金曜日)こと2010年1月29日の金曜日に、実に22年を経ての続巻となる第37巻として発刊された。なお、ジャンプコミックス版全36巻は、現在は集英社文庫(コミック版)として全18巻で発売中。