「サイボーグ009」や「仮面ライダー」をはじめ数々の名作を生み、日本のマンガに大きな足跡を残したマンガ家石ノ森章太郎(1938~98)の作品世界を立体的に再現したマンガミュージアム。「萬画」とは、石ノ森が提唱した創作理念で、あらゆる事象を表現でき、無限大の可能性を持つメディアとしてのマンガを指す。2001年、石ノ森の故郷宮城県登米市に隣接する石巻市中瀬に開館。所在地が旧北上川河口の中州にあり、ニューヨークのマンハッタンに似ているとして、「MANGATTAN(マンガッタン)」の別名も付いた。11年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)とこれに伴う大津波で中瀬は甚大な被害を受け、周辺は同館を残してすべての建物が倒壊。同館に渡る橋は漁船や車が乗り上げ、家屋などの残骸が積み上がる惨状を呈した。幸い2~3階にあった原画などは無事だったが、1階は汚泥とがれきに埋まり、原画を傷める湿気の高さや盗難の恐れなどから、一時は保存が危ぶまれたものの、ほどなく貴重な資料類はすべて関東地方の厳重な保管場所に移送された。建物は、震災直後臨時の避難所として周辺住民約40人を受け入れたが、やがて職員らは復旧に向け始動。現在は汚泥やがれきの除去、収蔵品の確認作業などに取り組んでいる。