福島県いわき市小名浜にある県立水族館。正式名称は、ふくしま海洋科学館という。2000年7月15日開館以来、「海を通して『人と地球の未来』を考える」の理念のもとに環境水族館として、里地・里山、海岸など身近な自然の保全活動の支援や、絶滅が危惧(きぐ)される動植物の繁殖育成の研究などに取り組んできた。海水、淡水の魚類約450種4万4000匹、エビやクラゲなどの無脊椎動物240種15万6000匹、植物約500種2万点のほか、ほ乳類、鳥類、両生類、は虫類などを飼育していたが、11年3月11日に起こった東日本大震災による津波の影響で、電気・機械室が冠水して水槽内の水質や水温の管理ができなくなり、餌を保管する冷蔵庫も停電で使えずに飼育不能となった。トドやセイウチ、ゴマフアザラシ、ユーラシアカワウソ、ウミガラスなど一部の海獣や鳥類は、千葉県の鴨川シーワールドや東京都の上野動物園など、県外の施設に避難させることができたものの、魚類など約20万匹を失い、一時閉鎖を余儀なくされた。けれども、全国の水族館の支援などによって300種2万匹の飼育動物が集まり、避難していた動物も同園に戻って、震災から4カ月後、開館11年目となる7月15日より営業を再開した。避難先の鴨川シーワールドで4月7日に生まれたゴマフアザラシのオスの赤ちゃんには、復興を願って「きぼう」という名前が付けられた。