スポーツ選手の血液データを継続して記録し、長期にわたるデータの蓄積から、禁止薬物などを使用したドーピング行為による数値の急激な変化や異常値などを見つけ出す、反ドーピングのための制度。赤血球を増やす働きがあるホルモンで、判別の難しかった薬物のエリスロポエチンの検出や、検査方法が確立されていない、冷凍保存した自分の血液を注入して運動に必要な酸素の運搬能力を増強する血液ドーピングなどの摘発に有効とされる。世界反ドーピング機関(WADA)が本格的な導入に取り組んでいる。2009年8月14日に開催された国際オリンピック委員会(IOC)と国際陸上競技連盟(IAAF)との合同理事会が導入で基本合意した。遠隔地から公認検査機関への血液サンプルの迅速な搬送など、本格的導入に向けて解決の必要な課題もある。なお、同様の制度として、国際自転車競技連合(UCI)が、すでに08年から、選手個々のドーピング検査結果や血液、尿の成分分析を記録したバイオロジカルパスポートを導入している。