豊臣秀吉が京都に築いた居城「聚楽第(じゅらくだい、じゅらくてい)」に、後陽成(ごようぜい)天皇が行幸したときの様子を描いた屏風。六曲一双で、左隻、右隻とも高さ156cm、幅358cm。新潟県上越市の個人が所蔵していたもので、2008年11月、所有者が市立総合博物館に調査を依頼。同志社大学の狩野博幸教授による鑑定でその価値を確認し、同館で09年9月12日から10月4日まで特別公開された。後陽成天皇の「聚楽行幸」は天正16(1588)年に行われ、秀吉が諸大名を集め、政権固めの儀礼を催したことで知られる。この屏風では、右隻に御所を出た後陽成天皇一行、左隻にはこれを迎えに聚楽第を出る秀吉の行列が描かれている。これまで聚楽第を描いた屏風は3例見つかっているが、秀吉の御所参内と行幸がそろったものは初めて。聚楽第は、京都における秀吉の居城として、天正15(1587)年に完成。贅(ぜい)を尽くした壮麗な邸宅とされるが、関白職とともに城を譲った甥の秀次の失脚により、わずか8年で破却され、全容は明らかになっていない。今回発見の屏風は、秀吉の死後間もない慶長年間(1596~1615年)に描かれたものと見られるが、城の詳細や当時の人々の生活などが生き生きと描かれ、史料的にも美術的にも貴重な作品とされる。