東京都港区にある迎賓館。1909年(明治42)、当時の皇太子明宮嘉仁(はるのみや・よしひと)親王(後の大正天皇)の住居となる東宮御所として建てられたが、74年(昭和49)、外国の元首などを招いたり、国際会議を行うための迎賓館に改修された。2009年10月16日、文化審議会は、この建物を国宝およびその前提となる重要文化財に指定するよう、川端達夫文部科学大臣に答申した。石造・鉄骨れんが造の地上2階、地下1階建てで、ベルサイユ宮殿などを模したフランス風ネオバロック様式の建築物としては日本で唯一のものとされるが、屋根の甲冑(かっちゅう)彫刻や内装の七宝焼など、随所に和風の装飾が見られる。設計を担当した当時の宮内省技師片山東熊(とうくま)をはじめ、明治の建築家、工芸美術家などが総力を挙げて完成させた。明治以降の近代建築としては初、洋風建築としても江戸時代末期の1864年(元治元)に竣工した長崎の大浦天主堂に次ぎ2例目の国宝となる。赤坂離宮は毎年夏季に一般公開。また、2009年11月26~28日には、天皇陛下の在位20年記念として、前庭を開放する。