京都市にある国際日本文化研究センター(日文研)が、2010年6月16日からインターネット上で公開した、絵画資料に描かれた怪異・妖怪に関する画像を集めたデータベース。02年に公開した文字資料「怪異・妖怪伝承データベース」のアクセス数が100万回を超えるなどユーザーの関心と人気が高く、画像での閲覧や検索を希望する声も多かったことから、その姉妹版として3年がかりで準備された。日本には古来から豊かな怪異・妖怪伝承が育まれてきたが、それと並行して怪異や妖怪を造形化する伝統も長い歴史がある。文献資料では奈良時代から見られ、平安時代には絵巻を中心に怪異や妖怪の絵画が登場。鎌倉時代後期から南北朝時代には怪異・妖怪を中心とした絵巻も好んで描かれるようになり、江戸時代には娯楽としてさまざまな絵画形式や媒体に描かれ、日本文化の大きな潮流として定着していった。しかし、これら怪異・妖怪関係の造形資料は、所蔵権や著作権等の問題からすべてをデータベース化することは難しい。そこで現時点では日文研所蔵の、葛飾北斎、河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい)など江戸中期~明治初期の妖怪や怪奇現象の絵画資料100点から、画像1826件(10年6月現在)を集めて収録。妖怪の名前のほか「角」「一つ目」などの容姿、「笑う」などのしぐさ、「赤い肌」などの色からも検索でき、主題や出典など解説も付く。監修は同センターの小松和彦教授(民俗学)。