東京都台東区浅草1丁目1番1号に所在する、日本初の洋酒バー。創業者の神谷傳兵衛が1880年(明治13)に旧浅草区花川戸で始めた「みかはや銘酒店」を前身とし、1912年(明治45)に現在の屋号に改め、21年(大正10)に現店舗を建設した。創業者が1882年(明治15)に考案した、ブランデーをベースにジンやワインキュラソー、薬草などをブレンドした甘い風味のオリジナルカクテルは、その後「電気ブランデー」と名付けられ、現在も「デンキブラン」の名で人気を得ている。落成時からの姿を保ち続ける店舗は、地上6階、地下1階の鉄筋コンクリート製で、清水組が設計・施工を行った。正面に縦長の半円アーチ窓を3列並べるなど、外装も内装も西洋風にあつらえられており、関東大震災や戦災にも耐えて、当時のおもむきのまま現在にいたっている。当初から浅草の名物の一つとして知られており、現在は1階を神谷バー、2階をレストランカミヤ、3階を割烹神谷として、各階ごとに違ったスタイルで営業している。2011年7月15日、文化庁の文化審議会は178件の建造物を有形文化財として登録するよう高木義明文部科学相に答申し、その一つにこの神谷バー本館が挙げられた。