正式名称は高松宮殿下記念世界文化賞。絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5部門で、国境や民族の壁を超えて、芸術の発展、普及、向上に顕著な貢献をした個人・団体に、毎年授与される。各部門、原則として年間1人、金メダルと1500万円が贈られる。58年間にわたって日本美術協会総裁を務めた高松宮殿下の「世界の文化・芸術の普及・向上に寄与したい」という遺志と、公益財団法人日本美術協会が創立100周年を迎えた記念として1988年に創設された。授賞式典は毎年10月、東京・元赤坂の明治記念館において、常陸宮、同妃両殿下を迎えて行われる。第23回目の2011年の授賞式は10月19日。絵画部門はアメリカのビデオアートの第一人者ビル・ヴィオラ、彫刻部門はヨーロッパのモダニスムとインド文化を融合させ、一つの作品に二重の意味合いを込めた「両義性の作家」と評されるイギリスの現代彫刻家アニッシュ・カプーア、建築部門はメキシコ人で初の受賞者となる建築家のリカルド・レゴレッタ、音楽部門は日本人として12人目の受賞者となる指揮者の小澤征爾、演劇・映像部門はアカデミー賞助演女優賞受賞者でイギリスを代表する女優のジュディ・デンチが選ばれた。同時に第15回若手芸術家奨励制度の対象団体が発表され、ロンドンの「ロイヤル・コート劇場若手劇作家プログラム」と「サウスバンク・シンフォニア」が選ばれた。なお、過去の日本人受賞者として、建築家の伊東豊雄(10年)、フォトグラファーの杉本博司(09年)、歌舞伎俳優の坂田藤十郎(08年)、画家の草間彌生(06年)などがいる。