大乗仏教の経典の一つ。西晋(3~4世紀ごろ)の僧、竺法護(じくほうご)が漢訳したとされる8巻が今に伝わる。1990年代にバーミヤンの石窟遺跡から発掘された写本類を調査していた佛教大学の松田和信教授は、2007年1月16日までの調査で、2~3世紀ごろに書写されたと見られる最古の賢劫経を発見した。これは、ヤシの葉に書かれた数十点の断片で、現代では使われていないガンダーラ語が、古代インドのカローシュティー文字でつづられていた。当時ガンダーラはカニシカ王を輩出したクシャーナ朝の中心地で、仏教文化が繁栄し、バーミヤンにも多くの寺院が建立された。これまで大乗仏教の経典では、20世紀初頭に新疆ウイグル自治区で発見された5~6世紀ごろの写本があったが、今回のものはそれを約300年さかのぼることになる。