国のスポーツ施策の方向を定めた、スポーツ振興の根幹となる法律。1964年開催の東京オリンピックを前に、国民スポーツ振興の行政課題を定めた法律として61年に制定されたスポーツ振興法を時代に合わせて50年ぶりに全面改正したもので、2011年6月17日に参議院で可決、成立した。超党派の国会議員によるスポーツ議員連盟の提案による議員立法で、5章35条と付則からなる。法律のおもなポイントは、以下の通り。(1)単語としては明記されていないが「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことはすべての人々の権利」として、国民のスポーツ権を明確に認め、国が国民のスポーツを楽しむ権利を保障する。(2)スポーツ団体に、組織運営の透明性、法令の順守、紛争の適正な解決を求める。(3)国と地方公共団体は地域スポーツクラブを支援する。(4)国は優秀な選手の育成を支援する。(5)障害者によるスポーツを推進する。(6)国はオリンピックなど国際大会の招致、開催が円滑になされるように、資金確保など特別の措置を講じる。(7)国はドーピング防止活動を支援する。(8)付則として、文部科学省や厚生労働省などに分かれたスポーツ行政を一元化したスポーツ庁の設置を検討する。スポーツ基本法の成立を受けて、文部科学省が具体的な基本計画を策定することになる。