文化庁が国語施策立案の参考にするために、1995年度(平成7)から行っている、日本人の国語に関する意識や理解の現状調査。2011年2月に行われた最新の調査結果が、同年9月15日に発表された。今回は、全国16歳以上の男女3485人(有効回収率60.4%、2104人)を対象に個別面接調査を行い、言葉遣い、日本国内で消滅の危機にある言語や方言、官公庁が使用する言葉についての意識と、慣用句等の言い方と意味について調査した。初の調査となったのが、「寒っ」など形容詞の語幹に「っ」を付けた言い方で、自分で使ったり気になったりするかを調べた。「寒っ」が85%、「すごっ」が76.7%、「短っ」が73.4%、「長っ」と「うるさっ」がともに66.1%と、高い割合で「他人が使っても気にならない」という結果になり、こうした表現が広く社会に浸透していることが判明した。同庁によれば語幹のみの形容詞の用法は19世紀江戸時代の滑稽本で確認されており、文法的には間違いではないという。また5年ごとに定期調査しているら抜き言葉の使用については、「来られる」「来れる」のどちらを使うかで、「来れる」を使用する人の割合が調査のたびに多くなり、今回は43.2%となった。40代では「来れる」(45.9%)が「来られる」(45.6%)を超え、10代では73.8%が「来れる」を使うと回答。「食べれない」の使用も前回から8.6ポイント増の35.2%となった。慣用句の意味や使い方についても正しく理解されていない実態が浮かび、今後の課題となった。