真言宗の開祖弘法大師(空海774~835年)の生誕を祝う6月15日の法要。降誕会とは、釈迦の誕生を祝う4月8日の法会のほか、宗祖や高僧の誕生の日を祝う法会を指す。真宗本願寺派では5月21日を見真大師(けんじんだいし=親鸞)(同大谷派は4月1日)の降誕の日とし、天台宗派では8月18日を伝教大師(でんぎょうだいし=最澄)、浄土宗は4月7日を円光大師(えんこうだいし=法然)、日蓮宗は2月16日を日蓮上人の、それぞれ降誕会としている。2009年6月15日に、真言宗の弘法大師降誕会が高野山真言宗総本山・金剛峯寺(こんごうぶじ、和歌山県高野町)で行われた際、天台宗総本山・比叡山延暦寺(滋賀県大津市)の座主(ざす=大寺の主席の僧職)が1200年ぶりに公式参列した。真言宗の開祖・空海と天台宗の開祖・最澄(766か7~822年)は、ともに現在の中国に入唐(にっとう=留学)して仏教を学んだ間柄であったが、最澄が晩年に、空海に経典を借りようとして断られたことから絶縁状態になったと伝えられ、以降、両派の公式の交流は絶えていた。最近になって両派の座主は世界宗教サミットなどで顔を合わせる機会もあり、関係修復の機運も生まれていたとされる。今回の訪問は、真言宗の最重要法要である弘法大師降誕会に天台宗の座主が招待され、それに応える形で歴史的な和解が実現した。