イタリアルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci 1452~1519年)が描いた油絵。長く行方不明で、幻の作品とされていたが、近年ニューヨークで発見され、専門家の調査によりダ・ヴィンチの真筆と判明。2011年11月9日からロンドンのナショナル・ギャラリーで開かれる特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ ミラノ宮廷の画家」(~12年2月5日)で公開されることとなった。同年7月11日、AP通信が伝えた。「サルバトール・ムンディ」とはラテン語で「救世主」の意。フランドルやドイツなど北方ルネサンスの画家に広く見られる伝統的表現で、イエス・キリストが右手を独特の指使いで天に向け、左手には水晶玉を持った姿で描かれる。1500年ごろ(一説に1506~13年)に描かれ、17世紀にはイギリス王チャールズ1世が所有したが、1763年に競売に掛けられた。その後1900年に過度な上塗りが施された状態で見つかり、イギリス人コレクターが入手したが、58年その親族が45ポンド(現在のレートでは約5800円)で売却。当時は、ダ・ヴィンチの弟子ジョヴァンニ・ボルトラフィオの作だと考えられていた。2005年に現在の所有者が入手し、専門家が修復調査したところ、上塗りの下から元の絵が出現。他の作品にも見られる描画方法や使われた絵の具などから、ダ・ヴィンチ作品と判明した。ダ・ヴィンチ作品の発見は、1909年以来102年ぶり。アメリカの美術誌「アートニュース」によると、約2億ドル(約160億円)の価値があるとされる。