ともに日本で測量を行う際に基準とする出発点。日本経緯度原点は、日本の地理学的経緯度を決めるための基準点で、国土地理院狸穴(まみあな)分室の南側に設けられている。1892(明治25)年、かつての東京天文台に置かれていた子午環(子午線をもとに天体の位置を調べる望遠鏡)の中心に定められたが、1923(大正12)年の関東大地震(関東大震災)の際にこれが崩壊したため、その後金属標を設置した。その位置は、東経139度44分28秒8759、北緯35度39分29秒1572で、現在の所在地は東京都港区麻布台2丁目18番地1号になる。日本水準原点は、東京湾の平均海面を標高0メートルとして日本の標高を決める基準点で、国会の前庭の憲政記念館構内に設けられている。1891(明治24)年、日本水準原点標庫という石造りの建物を建て、その中にゼロ目盛りの高さが標高24.5000メートルになるように水晶板を設置したが、後の関東大地震による地殻変動を経て24.4140メートルに改定された。現在の所在地は東京都千代田区永田町1丁目1番地2号となる。
しかし、2011(平成23)年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)によって、東北、北陸、関東で大きな地殻変動が生じたため、それぞれの原点の再測量が行われた。その結果、日本経緯度原点は、緯度は変わらなかったものの、経度が東経139度44分28秒8869の位置に1万分の110秒分、つまり東へ27センチほど移動したことが確認され、また日本水準原点は標高24.3900メートルに移動し、2.4センチほど沈降したことが確認された。それぞれの数値の修正にあたり、測量法施行令の一部を改正する必要があり、同年10月18日に閣議決定、その3日後の21日から公布、施行されることとなった。