東京都杉並区の住宅地にあった、周囲を緑に囲まれた木造平屋の洋風民家。都市計画家、近藤謙三郎の邸宅として1929年に建てられ、広い庭にはバラやキンモクセイ、夏ミカンなどのさまざまな草木が植わっていた。「となりのトトロ」「崖の上のポニョ」などの人気アニメ映画監督の宮崎駿が、たまたま近くを通りかかって見つけ、著書「トトロの住む家」(朝日新聞出版)で「懐かしい家」と紹介したことで、近隣の住民からこの愛称で呼ばれるようになった。2007年に空き家となったが、地域の住民から保存を求める6000人を超える署名が提出されたことから、杉並区は、隣接した駐車場とともに一帯の土地を買収。総額約4億円で公園として整備し、10年に開園する計画を進めていたが、09年2月14日に火災が発生。けが人などは出なかったが、建物は全焼してしまった。住民の間では落胆の声が広がっている。