石川県出身の文筆家で、日本山岳会に所属する登山家であった深田久弥(ふかだきゅうや)が、1964年に発表した随筆集。日本列島にある山のうち、著者自身の主観で選んだ100座について、歴史や山名の由来、伝説等を、1座1編の随筆で紹介している。選定に要した基準は主に3点で、(1)誰が見ても立派な山だと感嘆するぐらいの品格があること、(2)昔から人と深いかかわりをもっていること、(3)形や現象、伝統などに強烈な個性があること。また、標高がおおよそ1500m以上あり、著者が一度は登頂していることも、付加条件とされている。以来、百名山に選ばれた北海道9座、本州83座、四国2座、九州6座の山々は、多数の登山客を集め、日本を代表するトレッキングコースとして位置づけられるようになった。78年、日本山岳会では、この日本百名山をベースに、会員が選んだ200座の山を新たに加えた日本三百名山を発表。87年には、深田久弥ファンの集いである深田クラブが、創立10周年の記念事業で、日本二百名山を選定している。