プロ棋士と将棋ソフトが対戦する新棋戦。2012年1月14日、東京・千駄ヶ谷の将棋会館で、第1回を開催。日本将棋連盟会長米長邦雄と第21回(2011年度)「世界コンピュータ将棋選手権」優勝ソフト「ボンクラーズ」が、駒落ちなしの平手(持ち時間各3時間)で対局し、ボンクラーズが113手までで米長に圧勝した。当日はドワンゴが運営する「ニコニコ生放送」で中継され、無料のミラーサイトを含め100万人以上が観戦した。チェスでは1997年に、世界王者がコンピューターに敗れているが、取った駒が使える将棋はさらに複雑で、なかなか勝てなかった。しかし、2005年ごろから急速に進歩を遂げ、07年3月には、現役トッププロ渡辺明竜王と06年世界選手権優勝ソフト「ボナンザ」が、ネット将棋の特別対局で激突し、渡辺竜王が辛勝。そして10年10月、清水市代女流王将(当時)と世界選手権優勝ソフト4つによる合議制ソフト「あから2010」との対局で、ついにコンピューター将棋が勝利を得た。この結果を受け、米長は自ら次の対局に立候補。現役時代は名人1期を含むタイトル獲得数通算19期(歴代5位)、永世棋聖の称号も持つトッププロだが、現役を退いて約8年のブランクがあり、序盤の優位を生かし切れなかった。一方のボンクラーズは、「ボナンザ」を基礎として、複数のコンピューターをブドウの房(クラスター)のように並列につないだシステムで、1秒間に1800万手を読む能力がある。米長は、12月に行われた前哨戦の早指し対局(持ち時間各15分)に続き、2連敗。なお、第2回電王戦は、現役プロ棋士を含む5人と、世界選手権上位入賞ソフト5つの団体戦となる。