沖縄県南城市玉城にある旧石器時代の洞穴遺跡。2012年10月19日、沖縄県立博物館・美術館が、約1万2000年前の地層から、人骨と石器、食用にしたとみられる貝やイノシシの骨を発見したと発表。この時期は旧石器時代と縄紋(縄文)時代との変わり目にあたり、人骨と石器がそろって出土したのは初めてで、国内最古の例となる。遺跡は沖縄本島南部の玉泉洞ケイブシステムと呼ばれる洞穴群の中にある広さ約620平方メートル、高さ約7メートルの鍾乳洞。約1.5メートル×2.5メートルの範囲で、子どもの犬歯1本と加工の跡が認められる石英製石器3点(2センチ前後)が見つかった。沖縄では、約2万年前と測定された白保竿根田原洞穴の人骨や約1万8000年前(ともに旧石器時代)の「港川人」の人骨以降、7000~6000年前(縄紋時代)の土器文化まで人骨や石器が発見されていなかったことから、その間の空白を埋める遺跡として注目されている。今回の発見で、沖縄で石英が石器石材として使われていたことが初めてわかった。しかし、発見物が少量のため判断も難しく、今後、類例の発見が増えることが期待されている。