アメリカの大リーグ(MLB)コミッショナーから委託を受け、ジョージ・ミッチェル元上院議員がまとめた、禁止薬物の使用実態に関する調査報告書。2006年3月から始められた約700人への面接調査を踏まえて、07年12月に公表された。400ページを超える報告書には、筋肉増強剤のステロイドや、故障の回復を早めるヒト成長ホルモンなどを使用したとして、現役投手の最多勝利数を誇るロジャー・クレメンスなど、一線級の選手を含む86選手の実名が記載。日本の球団に在籍する選手も含まれていたことから、日本のプロ球界にも衝撃を与えた。ただし、引退した選手の実名を公表しているのに、調査に協力的だったとして名前を伏せられた選手もおり、その基準には疑問の声もある。報告書では、薬物購入に使われた小切手のコピーなどの「物的証拠」も提示。使用を認める選手がいる一方で、クレメンスらは否定している。MLBは、03年から薬物使用の検査を実施しているが、一部の選手への薬物使用疑惑は根強く、アメリカ議会にも罰則の緩さを指摘されたことから、06年に規制を強化していた。今回の報告書は薬物対策の促進が目的であるとして、実名の挙がった選手に罰則は科されない。