自然豊かな郊外の「本の町」で、散策をしながら古書店めぐりを楽しむ旅のこと。その町に宿泊して、ゆったりと本や美しい風景を味わう。発祥地はイギリス、ウェールズ地方のヘイオンワイ(Hay on Wye)という人口1500人ほどの田舎町で、1970年代後半、「本の町」を売りものにした観光振興を始め、旅行客を引きつけて町おこしに成功した。田園風景の中にたたずむヘイオンワイの街並みには、現在約30軒の古書店が軒を連ね、訪れてくる旅行者がくつろぎながら本を楽しめるように、野外にも本棚を並べている。このヘイオンワイの成功例にならい、ベルギーやフランスの田舎町でも本による町おこしの動きが広がった。日本では2009年8月、国内初のブックツーリズムの試みとして長野県伊那市の高遠町が「高遠ブックフェスティバル」を開催。10年9月18~23日の第2回フェスティバルでは、さまざまな出店やイベントが行われた会期中に、県内外から数千人の観光客が高遠町を訪れた。