和歌山県東牟婁(ひがしむろ)郡那智勝浦町、那智山にある滝。「那智大滝」の通称。または「一の滝」や、三つの筋状に水が落下する様子から「三筋の滝」とも呼ばれる。2004年7月に国連教育科学文化機関(UNESCO ユネスコ)の世界遺産に登録された、熊野古道や熊野那智大社などを含む「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部であり、日本三大名瀑の一つ。滝壺の深さ10メートル、落差133メートルで、直瀑の滝としては日本一の落差を有する。同滝の周辺には国立天然記念物の那智山原始林が広がるほか、多くの滝が存在しており、その中で特に48の滝は古くから修験道の修行場とされる。それらの滝は「那智四十八滝」と総称される。那智の滝は、熊野那智大社の別宮の飛瀧(ひろう)神社の神体であり、同神社では毎年7月と12月に滝の上部に掛けられた、長さ26メートル、太さ6センチの注連縄(しめなわ)を張り替える行事「御滝注連縄張替式」を行っている。11年9月の台風12号によって岩や土砂が流れ込んだことで神事を行う「斎場」が流されるなどの被害を受けており、復旧工事が進められている。