文化財保護法では、日本において価値の高い文化財(記念物)のうち重要な価値を持つものを「史跡名勝天然記念物」とし、文部科学大臣によって指定されると定めている。その種類によって、史跡、名勝、天然記念物に分類される。このうち、名勝は、公園や庭園、渓流、火山など、日本の自然において景観美に優れたものや芸術的、学術的価値の高いものをいう。史跡は、古墳や貝塚、城跡、社寺など、日本の歴史を正しく理解するために必要なものや学術的価値のあるものをいう。また、名勝や史跡のなかで、特に学術的価値が高く、日本文化の象徴ともいえるものをそれぞれ特別名勝、特別史跡という。これらの基準は、「昭和二十六年文化財保護委員会告示第二号(国宝及び重要文化財指定基準並びに特別史跡名勝天然記念物及び史跡名勝天然記念物指定基準)」によって定められている。通常、名勝や史跡という場合は、このように国が指定したものを指すが、地方自治体単位でも名勝や史跡などの記念物を指定できるため、便宜的に国指定名勝、国指定史跡などという呼ばれ方もする。2009年5月1日現在、名勝は351件(うち35件は特別名勝)、史跡は1640件(うち61件は特別史跡)に指定されている。同年5月15日、文化審議会は、大分県別府市の「別府の地獄」など4件を名勝に、京都府宇治市の「宇治川太閤堤跡」など10件を史跡に、東京都台東区の「国立西洋美術館園地」など2件を登録記念物(名勝地)に登録するよう文部科学大臣に答申した。