イギリスの音楽産業大手EMIグループが所有するロンドン北部、セント・ジョンズ・ウッドにある音楽スタジオ。1929年にEMIが建物を購入してスタジオとした。ピンク・フロイド、マイケル・ジャクソン、クイーンをはじめとする数々の著名アーチストが録音を行い、スターウォーズ、ハリー・ポッター、ラストエンペラーなどの映画のサントラもここで収録された。なかでも、アビイ・ロード・スタジオの名を世界に広めたのがビートルズで、彼らの曲の9割はこのスタジオで録音された。1969年、最後の録音となったアルバムは「Abbey Road」と名付けられ、ジャケットにはスタジオ前の横断歩道を渡るメンバー4人の写真が使われたことも有名。ビートルズゆかりの地の一つとして世界のファンが訪れる。現地の報道によれば、2009年からEMIでは資金繰りのための売却を検討していたが、反響の大きさに計画は白紙に戻されたと伝えられる。また、歴史的建造物などの保存を監督する公共団体イングリッシュ・ヘリテージは、03年から「20世紀の最も重要な音楽が制作された著名な場所」として、歴史的建造物への登録を政府に推薦しており、10年2月23日、文化・メディア・スポーツ省はこれを受け入れ、「スタジオは文化的に大きな重要性を持ち、音楽家や愛好家の特別な場所」との理由で、スタジオを歴史的建造物に指定した。