ベルギーの首都ブリュッセルで毎年開かれている世界的音楽コンクール。若手音楽家の登竜門とされ、フレデリック・ショパン国際ピアノコンクール、チャイコフスキー国際コンクールと並んで世界3大音楽コンクールの一つに数えられる。ベルギーが生んだ世界的バイオリニストで作曲家のウージェーヌ・イザイにちなみ、1937年に始まった「ウージェーヌ・イザイ・コンクール」を前身とする。これは第二次世界大戦のため、わずか2年で中止となったが、51年にバイオリン部門が再開。同国の音楽界に多大な貢献をしたエリザベート王妃(1876~1965年)の名を冠して、現行名となった。やがてピアノ部門(52年)、作曲部門(53年)、声楽部門(88年)も創設され、今日まで継承されている。レオニード・コーガン(51年、バイオリン)、ウラディーミル・アシュケナージ(56年、ピアノ)をはじめ、歴代受賞者には20世紀を代表する音楽家が数多くいる。日本人では、これまで作曲部門で藤掛廣幸、西村朗(いずれも77年)、バイオリン部門で堀米ゆず子(80年)、戸田弥生(93年)がグランプリを受賞している。同コンクールの特徴は、その開催方法。作曲部門を除く各部門を原則1年ごとに交代で開催し、その前に行われる作曲部門の最優秀曲が、次年度部門決勝の課題曲に組み込まれる。75周年を迎える2012年は、まず5月18日に、酒井健治が「バイオリンとオーケストラのための協奏曲」で11年度作曲部門グランプリを受賞。続いて同月26日、酒井の受賞曲を含む3曲で競うバイオリン部門で、成田達輝が、12年度の2位に入賞した。成田は10年11月のロン・ティボー国際音楽コンクールでも、2位に入賞している。