世界的な冒険家である植村直己の精神を継承し、極地、山岳、海洋、空等の自然を対象に人間の可能性に挑んだ、創造的な勇気ある行動(業績)について表彰する賞。主催は兵庫県豊岡市。第1回は1996年、2010年で15回を数える。選考対象期間は毎年1月から同年12月までの1年間で、受賞発表は翌年2月、1個人または1グループ(団体)に贈られる。受賞者の資格は日本人で現存者に限り、年齢、性別は問わない。正賞のメダルのほか副賞として100万円。植村直己は、1941年2月12日生まれ。70年に北米大陸マッキンリー(6194メートル)単独登頂に成功し、世界初の5大陸最高峰登頂者となり、その後、北極点犬ゾリ単独行やグリーンランド縦断などを成し遂げた。84年、世界初のマッキンリー冬季単独登頂に挑んで、同年2月13日飛行機との交信を最後にそのまま消息を絶った、日本を代表する冒険家である。2011年2月16日、217件の冒険行の中から「2010植村直己冒険賞」が発表され、冒険名「中央アラスカ山脈83日間に及ぶハンター(4442メートル)冬季単独登頂に挑戦」の、福岡県在住の栗秋正寿(くりあき・まさとし)氏(38歳)が選ばれた。栗秋氏は、すでに中央アラスカ山脈を代表するマッキンリー、フォレイカー(5304メートル)の冬季単独登頂に成功しており、ハンター冬季登頂は03年、04年、05年、09年に次いで、今回で5度目の挑戦となったがいずれも悪天候のため断念。しかしながら、栗秋氏の通算12年間に及ぶ冬季アラスカ山脈へ単独で挑戦し続ける行動が勇気を与えたと評価され、受賞につながった。