イタリアのデジタル処理会社HAL9000が、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を、超高解像度の画像データで処理し、2007年10月27日からインターネット上で公開しているプロジェクト。「最後の晩餐」(CENACOLO VINCIANO)は1495~97年にかけて、ダ・ヴィンチがイタリアのミラノの、サンタ・マリア・デレ・グラーツィエ修道院食堂の壁に、テンペラと油彩で描いた壁画の傑作で、イエス・キリストが磔刑に就く前夜に12人の弟子らと共にした晩餐の場面がテーマである。しかし完成直後から劣化が始まり、いくどかの修復作業が施されたものの、保存環境にも恵まれず損傷の程度が進んでいた。ようやく1999年に、約20年をかけた修復作業が終わり、洗浄の結果、キリストの口が開いていたことや、ユダの視線など、詳細が「再発見」された部分もある。HAL9000社では、これまで多くの名画を、デジタル画像で保存してきたが、このプロジェクトは同社の特殊技術により、「最後の晩餐」を数千枚で撮影して編集し、160億画素(16ギガピクセル)もの超高解像度の画像で保存し、一般公開した。インターネット環境さえあれば、誰でもこの絵の詳細を、至近距離による接写状態で鑑賞することが可能となった。プロジェクトには、アメリカの半導体メーカーのAMD、イタリアのデアゴスティーニ、日本のニコンなどが技術協力を行っている。