他者の苦しみや悲しみに接したとき、感情移入しすぎてしまい、無気力状態に陥ってしまうこと。燃えつき症候群に似ており、心身が疲労して、心のエネルギーが低下してしまった状態。1990年代に、新しいストレスの名称として精神医学界で使われはじめた。がんなどの末期患者と接する医療従事者や、外傷後ストレス障害(PTSD)患者の家族など、苦しむ人を支援したり、苦しみを目の当たりにする人に起こると報告されている。直接ではなく、間接的に、トラウマ(心的外傷)となりうる出来事に直面した場合に陥る心の状態。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生後、大津波が家屋や車をのみ込む場面や、変わり果てた町の惨状など、悲劇的な映像や報道が続いたため、被害に遭わず無事に過ごしている自分に罪悪感を抱いたり、無力感に陥った人が、多くいたとされる。精神科医の香山リカは、こうした心の疲れでいたずらに消耗しないため、あえて悲惨な映像や情報から自分を遠ざけ、休ませることが必要だと警告している。共感疲労は01年9月にアメリカで起きた同時多発テロの際にも見られた。