インターネット検索の世界最大手グーグルが、2004年にアメリカで始めた書籍検索サービス。タイトルや著者名、単語などを入力すると、刊行年などの基本情報や本文の一部を無料で閲覧できる。原則として著作権者の死後50年を経た著作権切れの書籍は、全文をダウンロードすることも可能。ドイツ、フランスなどのヨーロッパや、日本版も開設され、09年までに、グーグルが提唱する「図書館プロジェクト」に参加する日米欧の大学や公立の図書館の蔵書など、約700万冊の全文がデジタル化されている。ただし、これらは著作権者の許諾を得ていなかったため、05年に全米作家組合やアメリカの主要な出版社が、著作権を侵害したとしてグーグルを提訴。両者は08年10月、グーグルが著作権者に補償金や広告収入の一部を支払うことなどを条件に、書籍データの商業利用を認めるとする和解案に合意した。アメリカの訴訟制度や著作権の保護に関するベルヌ条約の規定によって、日本をはじめとする約200の条約加盟国も、著作権者が自発的に離脱を表明しなければ自動的に和解に参加したとみなされる。さらに、和解では絶版になった書籍の全文閲覧も認められたが、絶版を「アメリカの通常の流通経路で入手できない」と定義しているため、アメリカ国外の出版物が絶版とされる可能性もあり、問題になっている。09年4月には日本文藝家協会がグーグルを批判する声明を発表したほか、詩人の谷川俊太郎らが和解からの離脱を表明した。