古代インドの戦闘神で、仏教に取り入れられて仏法の保護者となったとされる。梵語(古代インド語)ではAsura。「生命(asu)を与える(ra)者」の意とされるが、「非(a)天(sura)」にも通じることから、大地を干上がらせる旱魃(かんばつ)神とも解釈されるようになった。そのため、ペルシャでは大地に恵みをもたらす最高神アフラ・マズダとなったが、インドでは、雷神であるインドラ(帝釈天)と常に戦い、敗れ続ける悪神へと転じた。構成要員などに異説も多いが、同様に悪神・鬼神とされながら、のちに仏教に取り込まれた五部浄(ごぶじょう)、沙羯羅(さから)、迦楼羅(かるら)、鳩槃荼(くばんだ)、乾闥婆(けんだつば)、緊那羅(きんなら)、畢婆迦羅(ひばから)とともに、八部衆(天竜八部衆)とされている。奈良・興福寺が所蔵する阿修羅像は、天平6(734)年に造られた脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)の仏像で、天平美術を代表する傑作。2009年3月31日から6月7日まで、東京・上野公園の東京国立博物館平成館では「国宝 阿修羅展」が開かれ、期間中100万人に迫る観覧客が訪れた。