正式名称「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」。2001年に施行された「文化芸術振興基本法」の基本理念にのっとり、劇場、音楽堂、文化会館、文化ホール等の活性化を通じて、音楽、舞踊、演劇、伝統芸能、大衆芸能といった実演芸術の振興を図り、心豊かな国民生活や活力ある地域社会の実現等に寄与することを目的とする。12年6月14日、超党派の音楽議員連盟による議員立法で提出され、同月21日可決、成立した。劇場や音楽堂は、これまで美術館や博物館に対する「博物館法」のような根拠法がなく、いわゆるハコモノ(施設)整備だけが先行して、内実が伴っていなかった。そこで「劇場法」では、劇場、音楽堂等の意義や機能を定義し、これに対して設置者・運営者、実演芸術団体及び国や自治体が果たすべき役割と責任について明示した。これによると、劇場、音楽堂等は、実演芸術の企画・実施や、それらを通じた地域振興、国際交流等にかかわる事業を担い、これらに必要な普及啓発や人材養成を行うものとし、一方で、国や自治体は財政面をはじめ、これらの目的を達成するために必要な環境整備等に努める責任があると規定している。「文化芸術振興基本法」の制定以来、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)などの芸術関係団体や、鳩山内閣で内閣官房参与を務めた劇作家平田オリザらが、制定を推進してきた。しかし、演劇関係者などからは、「民間劇場は対象外」「自由な表現活動に対する政治介入」といった疑問の声も上がっている。