マンガ家・手塚治虫の単行本デビュー作。2009年2月にも、小学館クリエイティブよりオリジナル版が復刻されることが、08年10月27日までにわかった。初版は1947年1月に育英出版から刊行。スピード感あふれるコマ運びや、多彩なアングルを駆使した映画的手法など、これまでのマンガになかった斬新な表現を盛り込んだとされ、戦後ストーリーマンガの出発点となった。当時40万部のベストセラーとなり、石ノ森章太郎や藤子不二雄などのトキワ荘メンバーをはじめ、のちのマンガ界を担う後進に決定的な影響を与えた。しかし、原作・構成の酒井七馬により、約60ページが削除され、絵やセリフにも手が加わっていることから、手塚自身はオリジナル版に不満で、1984年の全集版で全面的な書き直しを行っている。一方、オリジナル版は長く絶版でほとんど残されておらず、古書市場では500万円の値がついたこともある。手塚治虫生誕80周年となる2008年、これまで難色を示してきた手塚プロダクションが承諾、酒井七馬の遺族の了解も得て、ようやく復刻にこぎつけた。