イラストレーターにして絵本作家のなばたとしたかによる創作絵本。自然や日常のそこかしこに生息している架空の小型生物「こびと」たちにまつわる物語で、2006年4月に刊行された。以来、子ども向け絵本の範疇(はんちゅう)にとどまらないシュールな絵柄や内容が口コミで広がっている。愛犬が謎のぬけがらをくわえてきたことをきっかけに、主人公の「僕」が、祖父の「じぃじ」がかつて書き上げたこびとの観察記録「こびとづかん」を頼りに、こびとたちを探し始める展開。ここで登場するこびとは、全身タイツをまとったような格好で、おじいさん風の顔をした、身長1.5~30cmほどの二頭身のキャラクターであり、頭に「トウチン」という触手のような器官をもつ。絵本に登場するにもかかわらず、メルヘン色とはかけはなれ、いわゆる「キモカワイイ」キャラクターとも異なって「カワイイ」の要素は見当たらない。「づかん」という「図鑑」をもじったタイトルの通り、さまざまなこびとが登場するたびに、体長、生息地、特徴、食べ物についての生態が紹介される。「湿った草むら」に住むとか「ウミガメの卵が大好物」など、キャラクターごとに用意された設定もまた、独特な世界観に寄与している。DVD化もされており、続編の「みんなのこびと」や、20種類のこびとについての生態をまとめた「こびと大百科」も刊行、ストラップなどのキャラクターグッズも発売されている。