1990年代の次、2000年以降の流行文化、社会風俗を指すカテゴリー。東浩紀を始めとする1990年代に活躍したサブカルチャー論壇の批評家たちを批判して注目を集めている、宇野常寛の「ゼロ年代の想像力-『失われた10年』の向こう側」(「SFマガジン」2007年7月号より連載)などでの表現。宇野は連載第1回の冒頭で、「未だに5年前、10年前の流行がさも最先端の想像力であるかのように紹介されている」と主張。「東浩紀とその影響下にある論者たち」は、内面に引きこもって悩む主人公を描いて1990年代にブームとなったアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」や、そのモチーフや気分を受け継ぐ作品についてばかり語っており、ゼロ年代に現れた「引きこもっていたら殺されてしまうので、自分の力で生き残る」という、「決断主義」的な傾向を持つ「サバイブ感」を打ち出した作品、例えば「バトル・ロワイアル」「ドラゴン桜」、ドラマ「女王の教室」といったヒット作品と、それらを特徴づけている「いま」の想像力を、ほぼ無視してきた、としている。宇野は、90年代の「エヴァ」に対し、ゼロ年代の想像力を体現する作品として「DEATH NOTE」などを挙げ、それらが示す決断主義を克服するにはどうしたらいいのかが、「ゼロ年代に生きる私たちの課題」だと、主張している。宇野は1978年生まれ。