演出家、木村光一主宰の演劇制作体。1981年に設立。25年余でほぼ8000ステージの上演を重ね、地方における演劇鑑賞に深く貢献してきたが、木村光一の健康上の理由と、近年、観客のエンターテインメント性の高い商業演劇志向によって、経営が悪化したため、2007年10月末の解散を発表した。木村光一は1931年生まれ。東京大学を中退して、文学座に入り、反骨、気鋭の演出家として杉村春子主演の「欲望という名の電車」など数々の名舞台を演出した。50歳のときに「限られた芝居愛好者」向けの作品や「娯楽性だけを追求する演劇」ではなく、「生活者の日常感覚に沿った、心にしみる舞台」作りを理想として地人会を立ち上げた。名称は、宮沢賢治の「羅須地人協会」からとった。特定の所属俳優はなく、公演ごとに作品にふさわしい俳優やスタッフを集めるという「プロデュース公演」を取り入れた。代表的演目に、井上ひさし作、渡辺美佐子のひとり芝居「化粧」、水上勉作で有馬稲子の代表作となった「はなれ瞽女(ごぜ)おりん」、朗読劇「この子たちの夏――1945・ヒロシマ ナガサキ」などがあり、海外公演も数多く行った。