水族館は、海水を扱うことから施設や装置の劣化が早く、建設から約30年で大規模改修が必要とされており、水族館改修問題が起きる。日本で知られる水族館の多くは1990年代に建設されていることから、2020年ころに大規模改修期を迎えることになる。1989年に開業した東京都江戸川区の葛西臨海水族園(事業主体・東京都)は2014~15年に改修のための設計に着手する。また1990年開業の新潟市マリンピア日本海(同・新潟市)も2012年に、1978年開業の東京池袋のサンシャイン国際水族館(民営)は、2010年9月から1年をかけて全面改修を予定している。水族館の大規模改修は、水槽の入れ替え、ろ過装置、配水ポンプの取り替えに加え、修繕期間中に動物を他の施設へ移送する費用を入れると、数十億円から100億円を超えるなど、建設費に匹敵するケースもあるとされる。1990年開業の大阪市海遊館(同・大阪市出資の第三セクター)の改修費は100億円と試算される。92年開業の名古屋港水族館(名古屋市と愛知県の共同建設)などは、老朽化に直面するものの、経営母体である自治体の財政難が大きく立ちはだかる。さらに89年開業の福岡市マリンワールド海の中道(民営)は、サンシャイン国際水族館とは異なり、改修計画が立たない。水族館(aquarium)は、水生生物を飼育し展示を行う施設でアクアリウムとも呼ばれる。水槽にガラスを用いた世界最古の水族館は、1853年開業のロンドン動物園のフィッシュ・ハウスであるとされ、日本でのそれは1882年に上野動物園に作られた観魚室(うおのぞき)とされる。日本では高度経済成長の1960年代から、各地で水族館建設ブームが見られた。陸上動物などの生態や行動展示を見せることを目的とする動物園とは異なり、水族館は水生動物の生態や行動展示が可能なようにするために、巨大な建設・維持費を要するとされる。