電子出版市場が進化し拡大するなか、日本語の電子書籍の規格や法的問題などについて協議し、その消費ニーズを分析することを目的に、出版社31社が参加して2010年3月に設立された一般社団法人。日本の出版販売額は、書籍・雑誌ともに1990年代後半をピークに長期低落傾向にあり、2009年の推定販売金額は2兆円を割り、紙媒体の売り上げはさらに低下している。その半面、アメリカではアマゾンのキンドル(07年)を始め、アップルのiPad(10年)の投入など、電子書籍を読むデバイスの登場で電子書籍市場は拡大しており、日本への波及も確実視される。キンドルとiPadなどのデバイスなどに加えグーグルブックサーチなどのサービスともからみ、日本の書籍文化が海外の電子書籍のデファクトスタンダード(事実上の業界標準)に席巻されるおそれが出てきた。早期に日本のメーカーが電子書籍端末デバイスを市場に投入しながら、標準化を確立できなかったという事実が日本に災いしている。電書協では、(1)著作の利益や権利の確保、(2)読者の利便性、(3)紙とデジタルの連動・共存の問題に取り組むとし、また既存の電子書籍端末(ビュワー)の研究も行うとしている。参加出版社は講談社、小学館、集英社など電子書籍の90%以上を占める版元である。なお、同協会の前身であった電子文庫出版社会が運営をしていた電子書籍販売サイト「電子文庫パブリ」は、電書協が運営を引き継ぐ。電子書籍端末は、キンドルやiPadのほかに、アメリカの老舗で大手チェーンブックストアであるバーンズ・アンド・ノーブルのnook(ヌック)や、イギリスのケンブリッジ大学のベンチャー企業プラスチック・ロジック社のQue(キュー)などが次々と登場している。