奈良市の東大寺が新たに開設する収蔵・展示施設。2011年7月21日概要発表。これによれば、運慶・快慶らの金剛力士像が安置される南大門のそばにある東大寺総合文化センター内に、同年10月10日オープンの予定。国宝、重要文化財級の仏像や仏教絵画をはじめ、工芸、古文書など、8世紀半ばの創建以来1200年以上の歴史を持つ東大寺が守り伝えてきた文物を収蔵・展示する。最大の目玉は、修復中の国宝・法華堂(三月堂)から移される本尊の不空羂索観音立像(ふくうけんじゃくかんのんりゅうぞう/ふくうけんさくかんのんりゅうぞう)と、脇侍の日光菩薩立像、月光菩薩立像(3体とも国宝)。特に本尊は、高さ3.62メートルの脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)で、天平彫刻の傑作の一つとされるが、法華堂の外で公開されるのは今回が初めてとなる。また、オープンから12年3月末までは、開館記念として「奈良時代の東大寺」展を開催。国宝17件、国の重要文化財17件を含む延べ約60件を3期に分けて入れ替わりで展示。明治時代に大仏殿須弥壇下から発掘され、2010年になって奈良時代に失われた正倉院宝物と判明した「陽宝剣(ようのほうけん)/陰宝剣(いんのほうけん)」も、修復の完了を待ってその中に加わる。入館料は中学生以上500円、小学生300円。展示替えによる臨時休館以外は原則無休で、修学旅行などの団体向けには、午後8時半までの特別観覧も計画している。なお、不空羂索観音立像は法華堂の修理が終われば戻されるが、日光・月光両菩薩立像は、そのまま残される。