ロシアの国立プーシキン美術館が所蔵する日本の浮世絵コレクションをインターネットで見られるようにしたサイト(http://www.japaneseprints.ru/?lang=ja)。2012年10月22日公開。同館は、ヨーロッパ最大級の日本美術コレクションを誇るが、そのうち江戸から明治初期にかけての浮世絵は、帝政ロシア時代の海軍将校セルゲイ・ニコラエビッチ・キターエフ(1864~1927)が収集した作品群を基に、数千点を数える。しかし、規模の大きさや傷みやすいことなどから常設展示はできず、これまで数度開かれた特別展でしか鑑賞することはできなかった。そこで同館は、日本たばこ産業グループ(JT)の海外事業会社JTインターナショナル(JTI)の援助を受けて、彩色版画約670点を厳選し、2年の歳月をかけてデジタル化。高画質画像の電子カタログを制作した。サイトの特徴は、何と言っても分類の多彩さ。葛飾北斎、喜多川歌麿など絵師別はもちろん、美人画、役者絵、武者絵、花鳥画などのジャンル別、あるいは「忠臣蔵」「源氏絵」といった主題による分類、さらには時代別、流派別、版元別など、さまざまな角度からアプローチでき、技法、紙型、彫師、刷師(すりし)などもわかるようになっている。また、作品や絵師の解説も充実し、デジタルらしく画像を拡大して細部まで鑑賞することもできる。サイトには、英語、ロシア語、日本語版があり、日ロ両国だけでなく、世界中からのアクセスを期待している。