アメリカのPEN/フォークナー財団が毎年、優れた小説に授与する文学賞。アメリカ文学の巨匠ウィリアム・フォークナーが1949年に受賞したノーベル文学賞の賞金を基金として、81年に創設された。アメリカ人作家による小説作品を対象とし、文筆家の団体であるアメリカPENクラブ(ペンクラブ)の会員が選考にあたる。賞金は1万5000ドル(約120万円)。これまでの受賞者には、フィリップ・ロス(1994年、2001年、07年の3回受賞)、ジョン・デリーロ(1992年)、ジョン・アップダイク(2004年)などが名を連ねる。2012年度は、日系人の女性作家ジュリー・オーツカの「The Buddha in the Attic」(屋根裏部屋のブッダ)が選ばれた。内容は20世紀初頭、日本からカリフォルニア州に渡った日本人花嫁たちの物語。オーツカは日系人の両親を持つ日系3世で、第二次世界大戦中に母方の家族が強制収容所に入れられた実体験に基づく「天皇が神だったころ」を02年に発表(邦訳アーティストハウス社刊、02年)し、長編作家としてデビューした。同作品は日本語など6言語に翻訳されている。