文化勲章は、学術、芸術、そのほかの幅広い分野で、日本の文化の向上と発達に顕著な功績が認められた人々に授与される勲章のこと。1937(昭和12)年に文化勲章令が制定されて始まった。現在、文化勲章の受章者は文化功労者から選ばれることになっており、内閣府賞勲局での審査を経て毎年5人が閣議決定され、11月3日文化の日に発令される。2010年の文化勲章受章者は10月26日に発表され、ノーベル化学賞の鈴木章、根岸英一を加えた7人の受賞が決まった。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で行われた。7人の受章者とその業績は以下の通り。
有馬朗人(東京大学名誉教授)、原子核物理学で優れた業績を残すとともに、元文部相として教育振興に尽くした。安藤忠雄(建築家)、現代建築の分野でめざましい実績をあげ、日本の現代建築を世界に知らしめた。鈴木章(北海道大学名誉教授)、有機合成化学の分野で独創的な合成反応「鈴木カップリング」を開発、2010年のノーベル化学賞を受賞した。蜷川幸雄(演出家)、躍動感あふれる演出で演劇界に新風を吹き込み、国内外で高い評価を得た。根岸英一(アメリカ、パデュー大学特別教授)、有機合成化学の分野でパラジウム触媒によるクロスカップリング反応で優れた業績をあげ、2010年のノーベル化学賞を受賞した。三宅一生(服飾デザイナー)、東洋文化に根ざした衣服の概念と最先端技術の応用で機能的な衣服を創造し、服飾を通じた芸術文化の発展に尽くした。脇田晴子(石川県立歴史博物館長)、中世日本の商業史、都市史、女性史の分野で通説を覆すような優れた業績をあげた。