カナダのモントリオールで毎年8月下旬から9月初頭にかけて開かれるコンペティション形式の国際映画祭。国際映画製作者連盟(Federation Internationale des Associations de Producteurs de Films ; FIAPF)が認定する、作品コンペを行ういわゆるAリスト国際映画祭の一つで、1977年から開催されており、上映作品数、来場者数など北米最大規模を誇る。同映画祭では2005年に「いつか読書する日」(緒方明監督)が審査員特別グランプリ、06年に「長い散歩」(奥田瑛二監督)がグランプリ、08年に「おくりびと」(滝田洋二郎監督)がグランプリ、「誰も守ってくれない」(君塚良一監督)が脚本賞、09年に「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」(根岸吉太郎監督)が監督賞、10年に「悪人」(李相日監督)の深津絵里が主演女優賞を獲得するなど、近年、日本映画が立て続けに受賞し注目度も上がっている。11年の第35回は8月18日から28日まで開催され、ワールド・コンペティション部門で、原田眞人監督・役所広司主演の「わが母の記」が最高賞のグランプリに次ぐ審査員特別グランプリを、また「アントキノイノチ」(瀬々敬久監督)が最もインパクトがあり革新的で質の高い作品に与えられるイノベーションアワードを受賞した。「わが母の記」は「敦煌」「天平の甍」などで知られる作家の井上靖が家族との絆(きずな)を描いた自伝小説の映画化で、役所広司扮する主人公のほか、母役に樹木希林、娘役に宮崎あおいが出演している。12年公開予定。「アントキノイノチ」はさだまさしの同名小説が原作で、過去のある事件がきっかけで生きることに希望を見いだせなくなった男女が遺品整理業という職業を通して出会い、生きる勇気を取り戻していく姿を描く。主演は岡田将生と榮倉奈々で、11年11月19日公開。