学術、芸術、そのほかの幅広い分野で、日本の文化の向上と発達に顕著な功績が認められた人々に授与される勲章のこと。1937年(昭和12)に文化勲章令が制定されて始まった。勲章は橘(たちばな)の花びらの意匠が特徴。現在、文化勲章の受章者は文化功労者から選ばれることになっており、文化審議会文化功労者選考分科会からの答申を受けて文部科学大臣が首相に推薦、内閣府賞勲局での審査を経て、通常は毎年5人が閣議決定される。ただし、文化勲章を授与されていない日本人がノーベル賞を受賞した年は、慣例としてその年に文化勲章が授与されるため、受章人数は増えることがある。11月3日文化の日に発令される。2012年の文化勲章受章者は10月30日に発表され、親授式は11月3日に皇居で行われた。6人の受章者とその業績は以下の通り。
小田滋(東北大学名誉教授)、世界に先駆けて海洋法の理論的基盤を展開し、国際司法裁判所裁判官を3期務め、国際法学の発展に貢献した。高階秀爾(大原美術館長)、イタリア・ルネサンスからフランス近代におよぶ西洋美術の研究、評論活動などで、芸術文化の振興に貢献した。松尾敏男(日本画家)、自然写生を基にした、格調高い装飾性と独特の象徴性を込めた典雅な作風を作り出した。山田康之(京都大学名誉教授)、植物バイオテクノロジーの開拓者として、植物の細胞培養に着目、植物分子細胞生物学の研究に貢献した。山田洋次(映画監督)、「男はつらいよ」シリーズをはじめ、庶民生活の哀歓を描いた名作、話題作を世に送り出し、新境地を開拓した。山中伸弥(京都大学iPS細胞研究所長)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製に成功し、ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった。