学術、芸術、そのほかの幅広い分野で、日本の文化の向上と発達の功労者の栄誉をたたえ、顕彰する制度。1951年(昭和26)4月に文化功労者年金法により制定され、顕彰者には終身年金(現在は350万円)が支給される。文化勲章(Order of Culture)が、憲法の「栄典の授与はいかなる特権も伴わない」規定のために金銭給付がともなわないため、これを補うような形で創設された。顕彰者は文化審議会文化功労者選考分科会からの答申を受けて文部科学大臣が決定する。毎年15人が選ばれ、11月3日文化の日に発令される。また、文化勲章受章者は文化功労者から選ばれることになっている。2012年の文化功労者は10月30日に発表され、顕彰式は11月5日、東京虎ノ門にあるホテルオークラ東京で行われた。おもな顕彰者とその業績は以下の通り。
安野光雅(画家・絵本作家)、視覚のトリックを駆使した「だまし絵」など、画期的な絵本や叙情性豊かな絵本を数多く発表してきた。岡野俊一郎(日本サッカー協会最高顧問)、サッカー日本代表選手、監督として活躍し、日本サッカーの隆盛の基礎を築いた。辻井喬(詩人・小説家)、時代と自らを厳しく見つめる優れた作品を多数発表してきた。松本幸四郎(俳優)、現代歌舞伎界を代表する俳優であり、テレビドラマでも活躍する。宮崎駿(アニメーション映画監督)、優れたアニメ映画を次々に発表し、観客に感動を与えるとともに、世界的にも高い評価を得る。