人を笑わせ、考えさせ、他の誰もやりそうにない独創性に富んだ科学研究や発明に対して贈られる賞。アメリカの科学誌「Annals of Improbable Research」などの主催で、1991年から始まり、2011年で第21回目となる。ノーベル賞のパロディー版として「裏のノーベル賞」ともいわれている。変更はあるが、生物学賞、物理学賞、平和賞、化学賞、数学賞、文学賞、衛生賞、経済学賞、薬学賞などの部門がある。11年9月29日、ハーバード大学のサンダーズシアターで、ノーベル賞受賞者たちがプレゼンターを務めた11年度の受賞者の発表が行われた。化学賞には、わさびのにおいで火災を知らせる「臭気発生装置」を開発した、日本の滋賀医科大学今井真講師らのチームが選ばれた。また、「ある種の甲虫(タマムシ)がオーストラリア産のビール瓶と交尾しようとする」研究が生物学賞を、「尿意が意思決定を左右する」という研究が医学賞を、「ため息をつく理由」の研究が心理学賞を受賞し、リトアニアのビリニュス市長が交通ルールを無視する高級車を戦車で踏みつぶし、YouTubeで公開したことに平和賞が、「かめのあくびは伝染しない」という研究に生理学賞が、「円盤投げは目が回り、ハンマー投げは目が回らない理由」の研究に物理学賞が、「構造化された先延ばし理論」に関する論文に文学賞が、世界の終わりを不正確に予測した人々に数学賞が、ヘルメットのバイザーが顔にかかって視野が狭くなる場合の運転能力を測定し続けた実験に公衆安全賞が贈られた。日本人は、07年に山本麻由がウシの排泄物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出する研究で化学賞を、08年に中垣俊之らが単細胞生物の真性粘菌が迷路の最短経路を見つけることを発見したとして認知科学賞を、09年に田口文章がパンダのふんから取り出した菌を使って生ゴミの大幅減量に成功したとして生物学賞を、10年に中垣俊之・小林亮・手老篤史らが、迷路を最短で通り抜ける力がある粘菌が優れた鉄道網のモデルを作ることを突き止めたことで交通計画賞を受賞と、5年連続の受賞になった。