作者の死後50年が経過して著作権の切れた作品や、著作権者が「自由に読んでもらってかまわない」と許諾した作品を電子データ化して、無償で公開しているインターネット図書館。形式はテキストとXHTML(一部HTML)で統一。対応表示ソフトを使えば、本をめくるように読むことができる。収録作品は、作品名、作家名(新字表記)で検索でき、公開に向けて入力や校正が進められている「作業中の作品」も確認できる。1997年、コンピューター技術やネット環境の進展を前提に、ライター・編集者の富田倫生(みちお)を呼び掛け人として発足。富田によれば、「(本を)読みたいという気持ちが芽生えたときに、世界中のどこでも、ふと青空を見上げれば本がそこに開かれる。そういう環境ができれば素晴らしい」との願いを込めて、「青空文庫」と名付けたという。富田の呼びかけに応え、入力や校正等を引き受けるボランティアを「青空工作員」と呼ぶ。ほんの数タイトルで始まったこの試みは、やがて多くの賛同者を得て、2012年4月の時点で総勢663人が参加する大きな活動となり、収録作品数も、13年1月17日現在、1万1693作(著作権なし1万1462、著作権あり231)となっている。13年は、著作権切れを迎える著名作家が12人おり、1月1日から柳田国男の「遠野物語」をはじめ、吉川英治の「私本太平記」、室生犀星の「抒情小曲集」などの古典名作が、次々と公開されている。