天体物理学、神経科学、ナノ科学の3分野における、優れた科学的な研究に対して、隔年ごとに贈られる国際科学賞。カブリ財団とノルウェー教育研究省、およびノルウェー科学人民アカデミーによる共同事業として設立され、記念すべき2008年の第1回の受賞者として、08年5月28日、3分野7人が発表された。ナノ科学の分野は、日本の飯島澄男名城大学大学院教授が、ルイス・ブラス教授(アメリカのコロンビア大学)と共同受賞した。カブリ賞は、ノルウェー出身で、アメリカ在住の物理学者で企業家のフレッド・カブリ(Fred Kavli)氏が長年の事業で成功後、その権利を売却して設立した研究財団の事業の一つで、科学者個人のみの業績をたたえるだけではなく、人類の未来のために重要な研究の成果を正しく評価することを目的としている。受賞者には、100万ドルの賞金とメダル、賞状が9月にオスロで授与される。飯島澄男教授は、1939年生まれの材料科学者で高分解能電子顕微鏡の第一人者。91年に、NEC基礎研究所において、炭素原子がらせん状に並んだ管状の結晶であるカーボンナノチューブを発見し、青色発光ダイオードの開発者である中村修二教授(カリフォルニア大サンタバーバラ校)とともに、ノーベル賞に最も近い日本人の一人といわれている。