島根県安来市にある近現代日本美術を中心とした美術館。2012年1月10日までに、アメリカの日本庭園専門誌「数寄屋リビング/ザ・ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(JOJG)」が選ぶ2011年度日本庭園ランキングで、同美術館が9年連続1位に輝いた。2位は桂離宮(京都)、3位は栗林公園(香川)。同誌は日本庭園の技術と美を世界に紹介しようと1998年に創刊された隔月刊誌。内外の専門家約30人が、毎年全国約850カ所の名所旧跡や旅館などを巡り、選考を重ねる。選考基準は、(1)庭そのものの質、(2)建物との調和、(3)利用者への対応など。足立美術館は手入れや管理の見事さに加え、接客などでも高い評価を得て、2003年の同ランキング開始以来ずっと1位を守っている。1970年、地元の実業家足立全康(ぜんこう)により創設。本館・新館・陶芸館に7つの展示室を備え、横山大観(よこやま・たいかん)の日本画をはじめ、北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)の陶芸や平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)の木彫など約1500点を収蔵。特に大観コレクションは、代表作「紅葉(こうよう)」「雨霽る(あめはる)」「夏」をはじめとする北沢コレクションを中核に約120点を集め、世界一の規模を誇る。これを包むように配された約5万坪(16万5000平方メートル)の庭は、赤松と杉苔の「苔庭(こけにわ)」、山河に見立てる伝統技法の「枯山水庭」、落ちついた茶室がたたずむ「寿立庵(じゅりゅうあん)の庭」、悠然と鯉が泳ぐ「池庭」、大観の名作を再現した「白砂青松庭(はくさせいしょうのにわ)」、15メートルの人工滝が躍動する「亀鶴(きかく)の滝」という6つのエリアから成り、春のサツキ、夏の緑、秋の紅葉、冬の雪など、四季折々さまざまな表情を見せる。